思い入れ

2004年9月29日
大学1年生のとき、前期の生物学の授業のときだった。教官は、学生になにやらプリントを配り始めた。配られたプリントはワトソン・クリックによる『DNAの二重らせん構造』について、Newton(雑誌)に掲載した英文だった。教官はいきなり、「それを来週までに約してきなさい。」と言った。あまりにも突然で、驚いたが当時ニッシーは生物には興味があったので、何とか約したのを思い出す。ま、正確にはきちんと訳さないでインターネット上から論文の翻訳版を見つけ、書き写したに近いようなことをしてしまったのだが(苦笑)論文の内容は非常に興味深く、読ませてもらった。ニッシーが、生物にも興味がある一因である。

それが手伝ってか、後期にもニッシーは生物系の授業を教養科目として履修したのだが、試験問題が「二重らせん構造について知っていることを書け。」だったので、しめたものだ!と思い、論文の内容についてとにかく書いたことを今でも思い出す。

あれから4年がたった。今年の4月頃だっただろうか。この論文を書いたクリック博士(多分)が亡くなってしまった。新聞のコラム欄にそのことについて書いてあったのだが、正直少し驚いた。もちろん、面識はないのだがニッシーが生物に少しだけ興味を持った一因であったからだ。何か、寂しい気がした。

話は変わって、ニッシーは大学院になって数論を専攻するようになった。そして、ゼミで現在も読んでいる本が大阪大学教授、日本で数少ない代数的整数論の研究者、山本芳彦氏の本だ。この本は、多少細かいところは省いてあるとのことだが、今のところやってみて本としては分かりやすい。例題が載っているし、証明もある程度はしっかり書いてあるからだ。結構分かりやすいなと思っていた。

昨日、ふと新聞の訃報欄を見てみたら。何と、昨日その山本氏が亡くなったと掲載されていた驚いた。山本氏は、この教科書のみならず数学系の雑誌にもたびたびコラムを掲載していたからだ。新聞によると死因は肺がんらしいが、まだ63歳で大学を定年にもなっていない。記事を見た瞬間、思わずびっくりだった。

無論、山本氏にも面識はないが、現在山本氏の教科書をゼミの教科書として用いているだけに胸中複雑だ。教科書に数箇所間違いがあったので、ゼミの友人たちと「ここ著者に指摘するか!」と、冗談交じりに話もしていたのでもうそれもできなくなってしまったのだ。

ま、現在山本氏の教科書を読んでいるのも奇妙な縁。大切に残り部分を読んでいきたいと思う。

人はどこかで繋がっているとは言うが、思わぬところで複雑な思いがするものである。そんなことを感じた。

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